「リソース」という言い訳

2017年4月29日

diary

仕事をしているとよく聞く言葉に「リソース」があります。
特に部下から聞くことが多いんですが、仕事の出来ない人間ほど多用するということに最近気が付きました。

仕事が出来ない理由は、
  • 不明瞭
  • 非効率
この2つだと思っていますが、 これらは別々のものでなく「リソース」という言葉の中で悪循環しているように感じるんですね。

上司から「これをいつまでにやっておいて」と言われて「今ちょっとリソースが厳しいです」と答える部下の心情では恐らく、

(やっべ、これ以上仕事増やしたくねぇ。具体的にはよくわらかんけどとりあえず断っとこう)

という気持ちがあるのではないかと。
その仕事をするに当たって「何が」「どう」厳しいのか、そもそも振られた仕事がどんなものなのかを吟味する前に断るので全てが曖昧で不明瞭な訳です。

この言葉を使う社員は引き受けた仕事の中でも多用するので、
「○○の件、いつまでに上がりますか?」
「いやー、ちょっとリソースが厳しくて」
とか、或いは、
「○○さん、リソースはどんな具合ですか?」
「は?」
と言うような遣り取りが多くなります。

当たり前ですが、前のケースでは言われた方は(何が厳しいんだろう?納期か?技術的な不安点があるのか?)と無駄に悩む時間を消費させられますし、後のケースではそれこそ「は?何のこと?スケジュールに余裕があるかどうかってこと?」と無駄な聞き返しをしなければなりません。

こう言った「無駄」が発生するという非効率性が、「リソース」という曖昧で不明瞭な単語に内包されているように思うのです。

そしてこの単語を使う人は、まさしく自分の中で問題点や課題を整理も認識もできていません。だから曖昧な言い方になってしまう。

「リソース的に難しいです」
「何が?」
「いえ、ですからリソースが……」
「だから、技術的に自分には無理ってこと?それとも時間的余裕がないの?または外注に頼れる人がいないから出来ないの?もしくは有料で何か買えば出来るの?2課から技術者引っ張ってプロジェクト組めば可能ってこと?」
「……」

自分に何が足りていないのかわかっていないから、突っ込まれるとそれこそ「よくわらない」、わかっていない。自己分析できていないので。

なので私は、自分の管轄する事業部では「リソース」という単語を使わないよう徹底しています。
つい口に出してしまいそうになった時には上記で挙げたような、
人的リソース?技術的リソース?時間的リソース?外的リソース?資産(資金)的リソース?社内(支援)的リソース?それとも……
と、無理やりでも一度「〜〜的」とつけて考えろと指示しています。

すると、驚くほど効率的に物事が進みます。
当たり前だと思うんですよ。

だって、「リソース」なんて言葉を使っている時は、ただ単に言い訳したいけど言い訳の理由すら思いつかないってだけなんですから。