神社を擬人化することが「罰当たり」なのかどうか。

2017年3月20日

diary

「神社」の美少女化に苦言相次ぐ「もはや何でもあり」
うん、まあ艦船を擬人化するよりはマシな発想だと思いますよ。
そもそも神様そのものが何かしらの擬人化(?)な訳ですし。と、そう考えると「神社」ではなく「御神体」もしくは「神様」を擬人化というかイラスト化したゲームにすればいいのに、と思わなくもないですけどね。


擁護の声をまとめてみると、概ね「何を今さら。神社の知名度向上にもなるし、それで参拝客が増えて金落とすならいいじゃん」という感じで、反対の声は「神格に対して不遜不敬すぎる。金儲けできれば何してもいいという訳ではない」という感じ。

さて、自分がどう思うかという結論だけ言えば前述の通りなのだが、もう少し詳しく言えば、「神社の知名度向上に一役買うならそれはそれであり。特に不敬だとも思えない。ただ、(正真正銘の)聖地巡礼で道徳心の欠片もない連中が賽銭せず儀礼も弁えずに訪れるのは勘弁願いたい」ですかね。

このブログのwalking_japanカテゴリでもいくつか投稿していますが、出張した際に見かけた神社にふらりと参拝することが趣味というか、割と日本の神様の概念であるところのアニミズムやアニマティズムは信じている方だし、タイラー、フレイザー、プリチャードだけでなくデュルケームなどの宗教人類学系統を学ぶと、だからこそ民俗学や宗教人類学に興味が向けられるような流れは悪いと感じない。
問題はそれが負の結果を引き起こしてしまうことで、ただでさえ聖地巡礼には一部とは言え悪い結果がつきまとう訳で、それが神域や聖域となると思うと手放しで歓迎はできない。
何とか、良い結果だけをもたらしてくれるよう、巡礼と称して足を運ぶ人たちにはそこが単なるアニメなどの「聖地」ではなく「本当の聖地」であることを理解して、弁えた行動を採って貰いたいと願うばかりです。

擁護している人たちの知名度向上や利益という観点から言えば、正直なところ八坂や伏見、諏訪なんかの有名所にとっては特にメリットではないような気がします。
田舎の町おこしじゃあるまいし、はっきり言ってそれらの観点からこの議論をするのはおかしい。賽銭やお守りも重要な収入源には違いないけれども、神社にとってまとまった収入は祈願料であり、確実に発生する遷宮や修理などでは寄付金や氏子崇敬会での集金がなければ実現不可能。
ちょっとやそっと参拝者が増えた程度では、正直どうにもならない。氏子が増えたり、あるいはこのゲームがきっかけでマイホームを建てる際に地鎮祭をやった、となれば別でしょうが、恐らくはマナーの悪い参拝客が増えることによる手間や精神的苦痛と言ったデメリットの方が大きいと思われる。
なので、擁護する人は知名度向上や収入という点を外して、擁護に値する言論を行った方が良いんじゃないかな。

反対派の主張は、これはもう「何を今さら」としか言いようがない。
そもそもこれだけ人気を博している「艦これ」は軍艦の擬人化。様々なスレを覗けば、軍艦そのものと言うより国に奉じた英霊と一体化して見ている節がある。
とすれば、そもそも国のため家族のために殉じた英霊たちを乗艦していた軍艦と一緒に擬人化している訳で……草木や概念、風習、行事などを疑神化した神社を擬人化(言い回しが面倒だな)することより、実在していた、或いは今も実在している人たちをまとめて擬人化している方がよほど不敬というか、失礼になるのでは?

だから結論としては以下の2つ。

守るべきことを守って参拝(巡礼)して欲しい。
小さい神社も擬人化するならある程度のメリットがありそう。

結局は制作会社が儲かるかどうか。
でも、そこは単なる「金儲け」ではなく「モラルと秩序のある金儲け」をして欲しい。
これは今回の神社の擬人化に限ったことではないけれども。